通電火災・電気火災についてTurning on fire and electric fire

通電火災とは

通電火災とは、電気機器を原因とする火災である「電気火災」のうち、地震の揺れなどの影響で停電した後に電気が復旧することで発生する火災のことを言います。
大地震発生時に起こる電気火災は、「地震の揺れによって可燃物と電気機器が接触して発生する火災」と、「通電火災」の二種類に大別されており、通電火災によって二次災害が多発するケースも珍しくありません。

【通電火災の発生例】
地震の揺れや建物の倒壊で破損した電気機器に通電し、漏電やショートが生じて出火
熱電機器の上に可燃物が倒れたり、覆いかぶさった状態で通電し、電気機器が作動して出火
倒れた照明器具に通電して発熱し、近くの可燃物が出火
ガス漏れが発生している室内で通電して出火
通電火災とは

通電火災の怖さと消火方法

通電火災は「無人」の建物内で発生する

火災の多くは、近くにいる人が早めに気付いて初期消火を適切に行えば、被害が拡大する前に消火することができます。
例えば、地震発生直後の揺れによって発生する火災は、在宅している人や周辺住民が気付きやすく、早めに初期消火をしたり助けを求めたりすることができます。
しかし、通電火災の場合、地域住民が避難した後に時間差で発生することが多く、初期消火が遅れやすい傾向にあります。
地震の揺れによって物が散乱した中で出火すると、火が燃え移りやすく短時間で大きな火災となってしまいます。

通電火災に気付いた場合の対応

避難前に通電火災に気付いた場合は、初期消火を行ないます。
通電火災の消火方法は、以下の通りです。

【電気機器】
ブレーカーを切る
電源プラグをコンセントから引き抜く
消火器がある場合は使用し、無い場合は水をかける
【燃え移ったもの】
カーテン・・・天井に燃え移るのを防ぐため、引きちぎって床に落としてから消火
ふすまや障子・・・蹴り倒して消火器や水で消火
電気こたつ・・・布団をめくりあげると空気が入って火の勢いが増す恐れがあるため、布団をめくらず上から消火

必ずブレーカーを切ってから消火してください。
通電火災に有効な消火器は、「青いラベル」が貼られた消火器(粉末消火器、強化液消火器)です。
通常の消火器は通電火災の消火に適さないものもあるので、通電火災用に1本備えておくと安心です。

消火器

人命が最優先

通電火災を見つけたら、出来る限り消火に努めるべきです。
しかし、一刻も早く非難しなければならない場合、消火活動に時間と手間を取られてしまうと、それだけ命の危険が高まります。
地震発生時に最も優先すべきは、自分や家族の命です。
通電火災を発見した場合は、自分や家族が置かれた状況を踏まえた上で、早く避難しないと危険な状況であれば、消火よりも避難を最優先してください。

電気火災の現象と対策

トラッキング現象による電気火災

コンセントやテーブルタップに長時間電源プラグを差し込んだままにすると、コンセントとプラグとの隙間や周辺に徐々にホコリが溜まります。溜まったホコリに空気中の湿気などが付着すると、電流が流れプラグの両極間に微妙な火花放電(ショート)が繰り返され、ついには差し込みプラグから発火します。これを「トラッキング現象」と言います。
特にプラグが不完全な状態で差し込まれたまま放置すると、接触不良で発熱し、トラッキング発生の確率が高くなります。
トラッキング現象はいつ起こるか分からないため、就寝時や留守の間に発生した場合、発見が遅れて思わぬ被害に繋がる場合が多く、注意が必要です。

【対策】
トラッキング対応「プレトラックコンセント」の仕様
プラグをマメに掃除する
電気コードを踏みつけない
電気コードを床や壁に打ち付けない

漏電による電気火災

一般木造住宅において、電気配線などの絶縁不良により地絡電流が流れると、ラス網などの金属部が発熱し、接している木材などが発火することがあります。これを「漏電火災」と言います。
漏電火災は壁の内部など目に見えないところから出火するため、発見が遅れがちになり、発見された時にはすでに大火災になっているケースが多くみられます。

【対策】
低圧電路に漏電ブレーカ、あるいは漏電警報器を設置することで、比較的簡単に防止できます。
※現在、漏電ブレーカが設置されていない場合は、内線規程により違反施工となります。
古い既存住宅では漏電ブレーカが設置されていない場合があり、大変危険なため、心配な場合は電気工事士にご相談ください。

配線器具の老朽化による電気火災

配線器具を長期間使用していると、接触不良や絶縁不良により発熱し、大変危険です。最悪の場合、火災へと発展します。

【対策】
配線器具の耐用年数は約10年となっていますので、10年以上使用されている配線器具については、一度専門業者に調査を依頼し、悪い箇所があれば早めに交換してください。特に、照明器具などが見落とされがちですのでご注意ください。

ブレーカーの電気火災

近年、住宅内の電流遮断機(ブレーカー)から出火する火事が増えています。
遮断機に配線する接続ネジがゆるみ、電流が流れにくくなって発熱するケースが大半です。
ゆるみは施工ミスで最初から締め付け不足だったり、振動で段々と緩んできたりと、様々な原因が考えられます。
実際に出火したブレーカーは、振動などが多いドアの上の壁に取り付けられたケースが多いです。

【対策】
ブレーカーなどの配線工事については、第2種電気工事士の資格が必要なため、接続部分の変色・異臭などの異変に気付いた場合は、早めに専門業者に点検を依頼してください。

過電流

過電流は、ショート(短絡)と電気の使い過ぎ(過負荷)の二種類に大別されます。
屋内配線や電気機器の電源コード(電絡)において、間違った配線や電気機器に危険な電流が流れることをショート(短絡)と言い、ショートにより流れる電流を「短絡電流」と言います。万が一ショートが起きた場合には、ブレーカーで保護します。
また、電気ストーブやアイロン、ドライヤーなどの電気製品を一度に多く使い、配線に許容量以上の大きな電流が流れることを電気の使い過ぎ(過負荷)と言います。電線には電気を流せる最大量(許容電流)が決められており、許容量以上の電気が継続して流れると、電線が発熱して煙が上がり、終いには発火に至る可能性があります。

【対策】
許容電流については、分電盤内のブレーカーとブレーカーからコンセントまでの配線の太さにより異なりますが、一般的には15A(アンペア)までが許容範囲です。一ヶ所のコンセント使用量が合計1500Wを越えるような電化製品の使用は控えてください。
どうしても許容量を超えて使用したい場合は、コンセントを増設してご使用ください。
※コンセントの増設については、電気工事士の資格が必要なため、電気工事士にご依頼ください。